2017.09.14:カッシーニの最後の時間割

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NASAが公開したカッシーニの最後の時間割を日本語訳と日本時間換算して掲載します。

カッシーニの最後の時間割

日本時間 2017年09月12日(火) 02:27

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カッシーニは土星の楕円軌道で、土星からはかなり離れた地点にいます。
ただし、もうこれだけ土星から遠くにいることは、もうありません。
これから約3日後に土星の大気圏に突入するまでは、土星日に近づくために加速してゆくだけなのです。

日本時間 2017年09月14日(木) 17:22

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カッシーニはこれからあらゆるデータを地球に送信します。
地球の自転のため、最初の11時間はカルフォルニアのNASAのDSNアンテナで受信しますが、その後はオーストラリアのアンテナで引き継いで受信します。
この位置からは、14.5時間の間アンテナを地球に向けた状態を維持しなければなりません。

日本時間 2017年09月14日(木) 17:47

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ここまでの間は、カッシーニは科学観測をするために主にリアクションホイールを使って姿勢の維持・調整をしてきました。
しかしこれからは、最後の土星突入に向けて、土星の大気に負けないようにロケットエンジンの噴射のみを使用します。
リアクションホイールは20年間の務めを終えるのです。

日本時間 2017年09月16日(土) 04:15

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オーストラリアのアンテナでカッシーニからの信号を受信できるようになったら、すぐにデータ受信を始めます。
その20分後には、地球の自転の関係でカルフォルニアのDSNアンテナはカッシーニからの信号を受信できなくなります。
オーストラリアのアンテナのみ、唯一カッシーニからのデータを受信できるのです。

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これからカッシーニが最期を迎える前に、カッシーニに記録されているすべてのデータを送信しなければなりません。
これまでは観測したデータはカッシーニに記録されてから地球へ送信していましたが、もはや残された時間がありません。
これからは観測したらすぐに地球へ送信するようにします。

日本時間 2017年09月16日(土) 07:30:50

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カッシーニが土星大気上空に突入する際の速度は、77,000マイル/時(123,000Km/時)にも達しています。
高度を保つために残量の10%出力でエンジン噴射をします。
この時カッシーニは土星の大気上空約1,200マイル(1,900Km)にいます。

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次に100%出力でエンジン噴射をしてアンテナを地球へ向ける姿勢を維持します。
カッシーニはこれまでになく土星の大気に侵入し、約190マイル(300Km)ほど大気中に入り観測し続けます。
カッシーニが非常に高速であるため、探査機先端の表面が過熱され始め、カッシーニそのものの温度も上昇を始めます。

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土星大気の上空約930マイル(1,500Km)の地点で、高度維持が不可能となり制御不能となります。
徐々にカッシーニの機体から部品の分離が始まり、地球との通信が永遠に途絶えます。
カッシーニからの最後の信号は、おそらく地球に届くことはないでしょう。
この時、今回のミッションが物理的に終結を迎えたことになります。

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探査機は土星大気上層部を約77,200マイル/時(144,200Km/時)の高速で飛行しています。
これは雲の上約700マイル(1,100Km)です。
この環境下になると、カッシーニ搭載の観測機や撮影機器、コンピュータなどは「セーフモード」に入ります。

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カッシーニの金色の多層防護シートは引き千切れてしまい、11フィート(3m)のカーボンファイバー製のアンテナや、30フィート(11m)の磁気メーターなども壊れて分離していきます。
カッシーニに搭載してきた機器や部品が、次々にはげ落ちていき、探査機本体も破壊されていきます。

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カッシーニは最後の瞬間まで、土星の謎を解き明かすデータを送り続けてきたのでした。

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カッシーニは、20年に及ぶ数限りない発見による偉大な功績を積み上げて終わりを告げました。

カッシーニの最後の軌跡

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